作業環境との関連

 LCDモニターが他のディスプレイと比べて若干映り込みが目立ちにくい.LCDノートとCRTは同程度である.
照明器具の映り込み
 意外なことに、過去3年間映り込みは増加している。ノートPCが画面上向きで使用することにも関係していると考えられる。

 以下に示す視覚負担との関係を見ると、深刻な問題である。表面無処理のクリアパネルのLCDをオフィスワークに利用するのはいかがなものであろうか。
映り込みの年次変化
 照明器具の映り込みが見えるとした群で、終業時の目の疲労感が有意に高い。未だ画面上の照明器具の反射は作業者の視覚疲労を助長していることが明らかである。

 1974にVDT作業の視覚負担要因として、Hultgren, G. V., & Knave, B.が最初に指摘して以来30年間、この問題は解消していない。しかも、上に示したように、過去3年間で映り込みは増加しているのである。

 電子ディスプレイと印刷紙面との最たる違いのひとつ.ペーパーディスプレイでもこの問題は避けられない.
映り込みと終業時の目の疲れ
 映り込みは肩の凝りの訴えの増加ももたらしている。

 反射の測定評価および許容限界値に対する設計指針については、以下の拙論をご参照いただければ幸いです。

窪田 悟:液晶ディスプレイの反射特性と反射グレアの関係,照明学会誌,79巻,5号,pp226-233,1995.5
映り込みと終業時の肩の凝り
 上に示したように、目の疲れと肩の凝りと関係していると考えられる照明器具の映り込みは、LCDモニターで少ないが、LCDノートはCRTと同レベルである。

 先に述べたように、LCDノートの反射防止処理の問題というよりも、「作業姿勢」のページで示したように、画面を上向きで使用することに起因していると考えられる。

 したがって、LCDモニター以上に反射防止処理が重要となる。
照明器具の映り込みの年次変化(ディスプレイ別)
 約半分のユーザーは机上スペースに満足していない。

 机上の作業空間が狭いと肩の凝りの訴えが高くなる。拘束性の強い作業だけに、空間の確保が重要である。

 どのくらいの机上スペースが必要かは次の図をご覧ください。
机上の作業空間と肩の凝り
 130〜140cmあるとほぼ満足なレベルに達する。机の奥行きはあまり差が無く、評価にも影響していない。

 LCDの省スペースは作業者にはほとんど還元されていない可能性もある。1部屋に入ることができる作業者の数は増やせるが、作業者の個人の作業空間は広がらない。ディスプレイまでの距離は視距離に依存するためでもある。
VDT机の大きさと空間の主観評価